近年、VTuber の人気は留まるところを知らない。

企業のタイアップやコラボキャンペーンが日常茶飯事となる中、一部の心ないファン、あるいはそれに便乗する外部の人間によるマナー違反がたびたび物議を醸している。

今回注目したいのは、ある店舗で起きた悪質なクリアファイル(特典)の持ち去り事件だ。

事の発端は、SNS上で拡散された一枚の画像である。あるコンビニエンスストアとみられる売り場に、手書きの切実な貼り紙が出されていた。

本来であれば、対象の栄養ドリンクや胃腸薬などを指定の数だけ購入することで初めて手に入るはずの限定特典。

それを商品も買わずに、文字通り「根こそぎ」持ち去った人間がいるというのだ。

店舗側にとっても、正当に購入して特典をもらおうとしていた他のファンにとっても、これほど迷惑な行為はない。

こうした事件が起きる背景として、純粋に「そのキャラクターのグッズがどうしても欲しかった」というファンの暴走という側面も否定はできない。

しかし、今回の「全部持っていく」という極端な行動の裏には、もう一つの可能性が透けて見える。

それが「転売ヤー」による組織的、あるいは計画的な買い占め・窃盗行為だ。

VTuberの限定グッズは、メルカリなどのフリマアプリで高値で取引されるケースが後を絶たない。 人気グループの限定特典ともなれば、仕入れ値(この場合は無料での持ち去りだが)ゼロで利益を生む格好の標的になり得る。 連れの男性がいたという描写からも、役割分担をして手際よく回収していった転売目的のグループである可能性は十分に考えられるだろう。

仮に犯人がファンであろうと転売ヤーであろうと、やっておることはただの「窃盗」であり、許されることではない。

こうした一部の悪質な行為によって、界隈全体のイメージが「民度が低い」と一括りにされてしまうのは非常に不本意である。 しかし、現実としてこうしたトラブルが頻発すれば、企業側も今後のコラボレーションに消極的にならざるを得ない。

対策はもちろん必要だが、何よりも私たち消費者のモラルが問われている。 限定品への執着が生む歪みが、結果としてコンテンツそのものの寿命を縮めることになりかねないという危機感を、今一度強く持つべきである。

それから転売が容易に行えるフリマアプリの存在も、こうした事件を助長していることは否めない。