Geniee の漫画村への関与

最近よくある情報発信有力者によるツイートが火種のようだ。

漫画村への広告配信に 株式会社ジーニー Geniee,Inc. が関与していたことが周知された。

Geniee 側による反論

政府が発表した海賊版サイトへの対応に関するお知らせ | ニュース | 株式会社ジーニー Geniee,Inc.

4月13日、政府の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議において、海賊版サイトに対する緊急対策(案)が公表されました。これを受け、弊社では、該当サイトへの広告配信の有無につき、OEM(※)としてプラットフォームをご提供している企業様を含め調査し、4月16日にOEM先の配信においても停止措置を行いました。

弊社では、媒体社様にシステムをご利用いただく際、反社会的なサイトや公序良俗に反するサイト等弊社基準に照らし、不正が認められる媒体とは契約しないよう事前に審査を行っております。また、OEMとしてプラットフォームをご提供する際も、不正なサイトとの契約や配信は、規約上で禁止しております。 しかしながら、OEMとしてプラットフォームをご提供している企業様のお取引全てを把握することは難しい上、実態として不正の有無に関する明確な判断が難しいケース等もございます。

弊社といたしましては、当該サイトへの配信が認められたOEM提供先には、不正媒体への配信が再発しないよう厳重に注意喚起すると共に、今後同様の利用規約違反が発覚した際は契約停止の措置等を講じていく所存です。その他のOEM提供先企業様にも、弊社と同様の事前審査をいただけるよう定期的に注意喚起を行う等、再発防止に努めてまいる所存です。

弊社では、これまで以上に、広告主様、媒体社様そしてインターネットユーザーの皆様に、安心かつ快適に弊社サービスをご利用いただけるよう、また株主の皆様のご期待にお応えできるよう取り組んでまいります。

(※)OEM:弊社が独自開発した広告配信プラットフォーム等は、自社ブランドとして直接顧客へ提供するだけでなく、国内外の企業様が各々のブランド名でSSPやDSP等を行えるよう、システム提供しております。

Twitter での発信は未だなし。

他社にシステム提供をしたら漫画村に使われた。 そこまでチェックしてないから知りませんでしたとのこと。

しかし、まぁ会社を1つ挟んで逃れていた可能性もあるわけで非常に闇が深い。

そうでなくても、チェックがザルであったことが公になってしまった。

漫画村に広告を出すメリット

圧倒的にアクセス数が理由でろう。

エロコンテンツや版権モノへのアクセス数は多い。 日本だとアクセス数1位はYahoo!なのだが、その下を見ると、FC2やXvideos、DMMとわかりやすい。

しかし、広告主がより好んで漫画村に広告を出したのかどうかは今のところ不明である。

広告会社がよく言うSSPやDSPで最適化された結果、漫画村に表示されただけかもしれないので広告を出している会社に問題があるとは言いづらい (漫画村に広告が表示されるようなところに頼んでいる時点で問題があることは一旦無視して考える)。

とはいえ、漫画村に広告を正直出したいという本音をぶちまける広告主はいるようだ。

儲かれば何でもいいというのが Web である。

倫理もへったくれもない。

権利の問題

今回問題となったのは、漫画の著作権である。 日本の法律ではWebで第三者が画像を利用することへの罰則がない。 罰則を規定してしまうと、Twitter等のアイコンや無断で貼られる画像全てを取り締まり罰則を与える必要がある。 はっきりいって日本の警察を総動員しても取り締まりしきれないだろう。 そのとばっちりを受けて漫画がゆるふわコンテンツになった。 DMCAで検索結果から外されたりしたが、日本の企業による申請はいづれもスルーされていたりする。 決め手がカナダの企業だったはず。

個人的には漫画のフォーマットを規定し、.mng ファイルにする。 ここに含まれる画像が流用された場合、メタデータに含まれる権利者に賠償を行う仕組みを作るべきだと思う。 ブロックチェーン技術でも導入して閲覧ログを残せばなんとかなりそうでもある。 守りたいコンテンツは自ら率先して守るべきである。 指くわえて待っていてもダメなのだ。

しかし、限界もあるのだろう。 Webに無知であることが罪とならない日本社会なので…。 そのための対策が、国家主導のISP規制となった。 ほぼ中国の金盾。 これを許してしまうと、国による情報統制となってしまうのでよくないのだ。 それを防ぐためにも広告配信を停止して漫画村の収益を減らす必要がある。

それで、配信している Geniee に注目がいった。

広告以外による収益の高収益化

有料版漫画村が登場したこともあり、脱広告収益化をして独立を図るつもりだったのだろうけど、その前に仕留められた形となる。 これがもし成立してしまうと、他の漫画アプリとかが腐ってしまう。 ISP規制以外にもはや規制のしようがない。

ちなみによくある出版社が管理する漫画サービスは、

  • (広告配信して稼ぐことができるレベルのPVすらないから)無料じゃない。
  • 各社が個々に配信しているサービスは規制が激しく使いづらい。
  • (漫画村と)同じ金額を払っても閲覧できる作品数が少ない。

こういう印象というか事実がありながら、あーだこーだ言う出版業界も相当アレなんだけどね。 結局、利権のあるゴミが残ってしまうのはどうしたもんかと。

業界圧力怖いねぇ。

アドテク技術の追求

Geniee のエンジニアブログ等を見ても広告のマッチングや提供速度に関しては追求していたことは伺えるが、エンドユーザーに関しては一切何もしていない。 広告の受け手側への配慮が一切ないのである。 閲覧者への配慮としてのセキュリティ対策もつい最近手を出し始めたようにもみえる。

GenieeSSP、メディア向け不正広告検知機能を新規開発 | ニュース | 株式会社ジーニー Geniee,Inc.

今後やってほしいこと

広告の表示の方法や対象の選別といった受け手側や第3者への配慮といったものが必要だと思う。 他人の権利を侵害するサイトへの広告配信の制限で国家によるISP規制という中国の金盾のようなことがおきないように広告配信会社が権利問題に敏感になってほしい。

個人的には、エロコンテンツや版権モノによく表示される透明広告、フェードイン広告や降下式広告が消滅すれば広告主へのアクセス数が減ると思うので対処して欲しい。